前回、前々回に引き続き、今日も為替が動く要因について勉強してきたいと思います
ちなみに以前の記事はこちら!
今日も参考図書は引き続き「世界一わかりやすい為替の本」です
前回では「景気の良し悪し」「国の経済成長」「内外金利差」「インフレ率」が為替に影響を与えると勉強しました。では、今日は更にどんな要因があるか調べてみましょう
要因7:株式相場が為替に与える影響
前回では、「景気の良い国」にお金があつまると説明しましたが、同じように「株価の上昇が見込まれる国」にお金が集まる傾向にあります
例えば世界が不況の中、日本の景気が回復し株価上昇が見込まれるとします。そうすると、世界中から日本の株を買う投資家が現れます。つまり、外貨を日本円に替える需要が増えるので、円高へ向かいます。
・日本の株価上昇の見通し→円高
ただし、必ずしも円高に作用しない場合もあります。なぜか?それは日本の銀行や生命保険会社、投資信託などの「機関投資家」が、日本株の運用成績が好調になると、よりリスクをとって海外にとう押ししようとする動きが増えるからです。すると円を外貨に替える需要が増えるため、円安に動きます
まとめると、、、
・日本の株価上昇の見通し→円高
・ただし機関投資家が海外投資を積極的に行い、円安に流れる場合もあり
ということが出来ます
要因8:経済指標の発表
今まで説明したように、為替相場は貿易収支や景気、GDPや内外金利差、インフレ率など、様々な影響を受けて動きます。こうした経済の基礎的な条件を「ファンダメンタルズ」といい、ファンダメンタルズが好調な通貨は上昇し、不調な通貨は下落します
この「ファンダメンタルズ」を見極めるのが「経済指標」です
それでは注目度が高い経済指標を見てきましょう
■米国経済指標
◎雇用統計(毎月第1金曜日発表)
1:非農業部門雇用者数
・前月比プラス(雇用改善) →景気が良い→ドル高
・前月比マイナス(雇用悪化)→景気が悪い→ドル安
2:失業率
・前月比プラス(雇用悪化) →景気が悪い→ドル安
・前月比マイナス(雇用改善)→景気が良い→ドル高
◎ISM製造業景況感指標(毎月第1営業日発表)
指標が50が景気の良し悪しの分岐点
・50を上回る→景気が良い→ドル高
・50を下回る→景気が悪い→ドル安
◎小売売上高(毎月中旬発表)
小売業の売上状況がわかる
・前月比プラス →景気が良い→ドル高
・前月比マイナス→景気が悪い→ドル安
アメリカの他にも、日本も経済指標を発表しています。それでは注目度が高い日本の経済指標を見てみましょう
■日本の経済指標
日銀短観(4・7・10中旬と12月中旬発表)
大企業・製造業の景況感を示す以下のものが注目ポイント
◎業状判断指数(DI)
・プラス →景気が良い→円高
・マイナス→景気が悪い→円安
◎鉱工業生産指数(毎月下旬発表)
鉱業・製造業の生産活動状況がわかる
・前月比プラス →景気が良い→円高
・前月比マイナス→景気が悪い→円安
◎実質GDP・第一次速報(2・5・8・11月中旬発表)
日本経済全体の最新状況がわかる
・前期比プラス →景気が良い→円高
・前期比マイナス→景気が悪い→円安
次にユーロ圏の経済指標を見てみましょう。ユーロ圏では、圏内最大の経済規模をもつドイツの「企業景況感指数」や「雇用統計」、ユーロ圏全体の経済状況を示す「ユーロ圏の景況感指数」が注目されます
■ユーロ圏の経済指標
◎ドイツの企業景況感指標(毎月下旬発表)
ドイツ企業の景況感を示す。2000年を100として算出
・前月比プラス →景気が良い→ユーロ高
・前月比マイナス→景気が悪い→ユーロ安
◎ドイツの雇用統計(毎月下旬発表)
失業者の増減と、失業率の2つがポイント
1:失業者数の増減
・前月比プラス(雇用悪化) →景気が悪い→ユーロ安
・前月比マイナス(雇用改善)→景気が良い→ユーロ高
2:失業率の増減
・前月比プラス(雇用悪化) →景気が悪い→ユーロ安
・前月比マイナス(雇用改善)→景気が良い→ユーロ高
◎ユーロ圏の景況感指標(毎月末発表)
ユーロ導入16カ国の景況感が分かる
・前月比プラス →景気が良い→ユーロ高
・前月比マイナス→景気が悪い→ユーロ安
要因9:時間や季節変動によっても相場は動く
時間帯や季節によっても、国の銀行が開いている時間などが為替に影響して来ます。ここでは、1日、1ヶ月、1年単位で、どのようなタイミングで為替が動くか勉強してみましょう
①1日の間では、日本時間の深夜に取引量が増え、早朝は減る
1日の中で最も取引が多いのは、日本時間の21時頃から翌2時ごろです。この時間は欧州や米国の銀行も取引に加わるので、市場は活発に動きます
更に要因8で述べた、アメリカの経済指標もこの時間によく発表されます
②1ヶ月の間では、5日、10日、月末に取引量が増える
企業の決算が増える5日、10日と、月末は外貨の買い注文が入りやすく、円安になる傾向があります
③1年の間では、取引量は休暇や企業の決算月に大きく関係する
・2-3月:円高傾向
決算を前に、海外の日本企業がドルを円に替える動きが増えるため、円高、ドル安の傾向になります
・4-5月:円安傾向
決算後、今度は日本企業が新規取引を始めるために円をドルに替える傾向があります
・8月:取引量が減る
日本はお盆休み、欧米も夏季休暇に入るため市場は膠着状態になります
・11月:ドル高、ユーロ高傾向
12月に決算を迎える欧米企業が海外の資金を自国に戻す動きが増えます。その為、海外にある資金を、ドル、ユーロに替える動きが増えるため、ドル高、ユーロ高になる傾向にあります
・12月:取引量が減る
12月になるとクリスマス休暇のため、取引量が減ります。また、決算を終わらせた外国企業は損益が動くことを嫌い、取引量は減る傾向にあります
今回のまとめ
いかがだったでしょうか。今回は、「株式相場」「経済指標」や「時間・季節によるトレンド」が為替にどのように影響があるかを考えていました
ニュースで取り上げられている経済指標なども、こういった為替の動きと密接に連動しているんですね
次回は、為替と株はどのようにつながり合っているか?について勉強をしてみます。それでは!